2014年4月23日水曜日

取引相場のない株式等を「純資産価額方式」により評価する場合の法人税額等相当額の改正について

                              平成26年4月23日
相続税ニュース

                 税理士法人 日本橋経営会計コンサルティング



  取引相場のない株式等を「純資産価額方式」により評価する場合の法人税額等相当額の割合が、所得税法等の一部を改正する法律(平成26年法律第10号)の施行等に伴い、平成26年4月2日付課評2-9外「財産評価基本通達の一部改正について(法令解釈通達)」通達により、次のとおり改正されました。

 
 1.取引相場のない株式等を「純資産価額方式」により評価する場合においては、総資産価額から負債の合計額を控除した額(評価差額)から評価差額に対する法人税額等(平成26年3月31日までは、法人税、復興特別法人税、事業税、地方法人特別税、道府県民税及び市町村民税の税率の合計に相当する額)を控除することとされており、その法人税額等の割合は「42%」とされておりました。

 
 2.平成26年度の税制改正において、次の(1)から(5)の改正が行われたことに伴い、(1)については、平成26年4月1日以後に相続、遺贈又は贈与により取得した財産の評価に適用することとされ、(2)から(5)については、平成26年10月1日以後に相続、遺贈又は贈与により取得した財産の評価に適用することとされ、いずれもその法人税額等(平成26年4月1日以後は復興特別法人税を含まず、同年10月1日以後は地方法人税を含む。)の割合は、「40%」とすることとされました(財産評価基本通達186-2)。

 (1)復興特別法人税における課税事業年度等の判定の基礎となる指定期間を、平成2  
    4年4月1日から平成26年3月31日までとして、1年前倒しで廃止する。
 (2)地方法人税が国税として創設され、平成26年10月1日以後に開始する事業年
    度から適用する。
 (3)法人住民税法人税割の税率が改正され、平成26年10月1日以後に開始する事
    業年度から適用する。
 (4)地方法人特別税の税率が改正され、平成26年10月1日以後に開始する事業年
    度から適用する。
 (5)法人事業税(所得割及び収入割に限る。)の標準税率が改正され、平成26年
    10月1日以後に開始する事業年度から適用する。

 
 3.取引相場のない株式等の純資産価額方式による評価において「評価差額に対する法
   人税額等に相当する金額」を控除することとしているのは、株主からすれば、株式 
   の所有を通じて会社の資産を所有することとなるので、個人事業主がその事業用資
   産を直接所有するのとは、その所有形態が異なるため、両者の事業用資産の所有形 
   態を経済的に同一条件のもとに置き換えた上で評価の均衡を図る必要があることか 
   らこのような評価方法によっているものです。ちなみに、この「割合」が42%か
   ら40%に引き下げられるということは、その結果としての純資産価額は増加する 
   こととなります。
    また、この改正により、「取引相場のない株式(出資)評価明細書」の「第5表  
   1株当たりの純資産価額(相続税評価額)の計算明細書」の「評価差額に対する法 
   人税額等相当額」及び「第8表 株式保有特定会社の株式の価額の計算明細書 
  (続)」の「⑳の評価差額に対する法人税額等相当額」欄について改正がされており
   ます。

 ≪参考≫
  イ 平成26年4月1日以後の「法人税率等の合計割合」の内訳 

 
税率
根 拠 条 文
備考
法人税
法人税
25.5
法人税法66①
 
復興特別法人税
 
復興財源確保法40
 
事業税
事業税
 5.3
地方税法7224の7
地方法人特別税等暫定措置法2
 
地方法人特別税
 4.3
地方税法7224の7
地方法人特別税等暫定措置法2及び9
 
道府県民税
 1.3
地方税法51①
法人税割の税率。
法人税額×5%
市町村民税
 3.1
地方税法314の4
法人税割の税率。
法人税額×12.3
合 計
39.5 ≒ 40
 


  ロ 平成2610月1日以後の「法人税率等の合計割合」の内訳

 
税率
根 拠 条 文
備考
法人税
法人税
25.5
法人税法66①
 
復興特別法人税
 
復興財源確保法40
 
地方法人税
 1.1
地方法人税法10①
法人税額×4.4
事業税
事業税
 6.7
地方税法7224の7
地方法人特別税等暫定措置法2
 
地方法人特別税
 2.9
地方税法7224の7
地方法人特別税等暫定措置法2及び9
 
道府県民税
 0.8
地方税法51①
法人税割の税率。
法人税額×3.2
市町村民税
 2.5
地方税法314の4
法人税割の税率。
法人税額×9.7
合 計
39.5 ≒ 40
 

 

2014年4月12日土曜日

経営戦略とは

経営学の本を読むと経営戦略の定義が難しい。


「経営戦略は時流に乗る作戦のことだ」と書いてある本があった。


簡単にして明瞭、この理解でよい。


時流に乗るのだからこそ、5年から10年で取り換えるべきなのだ。


風を考えないといけない。芝生を風に流してみるように。


風など推進力の強いエンジンがあれば関係ない。


大きな組織にいたりすると実はこの感覚があまりないのではないか。


立地も5年、10年経てば変わる。


世の中が求めるサービスも変わる。


変わってきた風向きに敏感であらねばならない。

変わってくる風を読むことが零細から小へ、小から中へ売上を伸ばす大事なことだ。

2014年4月8日火曜日

創業当時は零細企業、しかし小は大になれると思い込むこと

最初から大きな会社だった企業はあり得ない。
必ず、零細から小、小から中、中から大へと成長しているのだ。


創業当時は零細企業、今の名だたる大企業もみなそうだ。


みな天才的経営者だから大きくなれたのだろうか?
いや、みんなありふれた小規模事業主にすぎなかったのだ。


しかし他を圧倒する大企業に成長させている。
なぜか、何が違っていたのか?


他の人と異なる努力をしていた。


何事も努力の方向を変えることだ。成長への的確な努力をしてきたかだけだ。




ビジョンとは、「現段階で不可能と思われることだからこそ、20年、30年、50年と長い年月をかけてでもやりとげたいと願う仕事上の目標である」という。


売上高をどれだけ伸ばすか。100倍にすると考えてみる。20%増しだと現状肯定の上で届くラインだが、100倍だと、現状を1とすればのこりは99だ。1は無視するしかないのだ。
100倍を考えるか、1.2倍しか考えないか。大きな違いはここから生まれる。


売上を増やすには、例えば、店数、売り場面積、客数、人員数。考えられるものは何か。


3年から5年の間に1回だけ急成長する時があり、3年に1回は停滞期があるものだ。


その会社も大きく売り上げを伸ばした時期があった。しかし、経営者の懐に消えた。高級億ションを買いビジョンがないことを知らしめた。その企業は今はない。


停滞期に恐れをなした経営者もいる。イライラして従業員を怒鳴りつけていた。人は去った。


経営の定石を学んでおかなければならない。みな零細企業の経営者の時から学んでいるのだ。学ばずに会社を大きくした天才などいない。

2014年1月21日火曜日

長期計画2(売ろうと思わなければ売れない)

ユニクロの柳井さんが書いた「現実を視よ」を読んでいる。
その中に、計画の必要性と注意事項が書いてある。

「100億円売ろうと思わなければ、100億円売れない」
100億円売る計画をつくるには、これまでの方法論を一度完全に捨て去らなければならない。
優秀な人間ほど、過去の思考パターンに引きずられる傾向がある。一つのパターンが何度も通用するならビジネスで失敗する人はいない。
現場に隠れてる将来の成功に必要な要素が見えなくなってしまう。だからこそ「成功は1日で捨て去らなければならない」と。

商売において絶対に必要なことは、現場に立って感じる直感や肌感覚。このセンスを磨くことなく理論に頼っていては成功など夢のまた夢だろう。

もちろん、理論や数値化がいらないと言っているのではない。現象を抽象化して数値化すると、それまで見えなかった事実がはっきりすることがある。

要は使い方とバランス。理論や数値を超えるものが見れるようにならないといけない。

まずは、100億円売ろうと思わないといけない。
10億円規模の売上で、100億円売ろうと思えるだろうか。

今期、1000万円の売り上げで、来期1億円売る為に計画を立てているか。同業者のやり方と同じ今までの方法論を一度完全に捨て去って考えてみよう。

日常に追われずに、考えなければならない。そうじゃないと忙しいばかりで来期も同じになる。

2014年1月14日火曜日

コミュニケーション

佐藤可士和さんの書いたクリエイティブシンキングによれば、コミュニケーションのスキルアップするのは簡単だそうだ。”無意識”によるコミュニケーションを”意識的”に切り替えることから全てがはじまるとのこと。

 ・人の本意を聞きだすスキル
 
 
  この際欠かせないのが思考の情報化というプロセス:頭の中にあることを、言葉と言う形にして
  どんどん引き出していこうという積極的な行動が必要になる。自分が積極的に相手の話を咀嚼 
  して理解する。

 
 前回のトピックスの長期経営計画でも同じ事が言えます。思考の情報化プロセスです。

 「一番強調したいことはこういうことですよね」と。

 ・話の本意を読みとる。
  本意がはっきりしない、ピントが合わない場合は、極論を投げかけるそうです。「このプロジェク 
  ト、中断してみたら」とか。

・自分の考えを正確にまとめる
 
 
 もし、違っていたら、整理しなおして再度ぶつけてみる。何度か少しずつ軸を修正。

・相手に解りやすく伝える。
人間同士はたやすく解り合えない。「阿吽の呼吸」は立ち行かなくなった。

常にお互いの思いを徹底して確認しあうこと。できあがったものがピシッとお互いにフィットするように。

先日、ご婦人方のコミュニケーションに参加させられた。来年度の世話役を決めるようだ。「聞いておいて下さい」と。男性の私からすれば、長い、長いコンセンサスの取り方に少しついていけないなーと。また、また、話が何度ももとに戻ってしまう。これが女性特有の丁寧なコミュニケーションなのかもしれませんね。あとあと意図したことが誤解されてトラブラないように。

社長と社員も丁寧なコミュニケーションが必要ですね。

私の無意識のコミュニケーション(せっかち、簡単に、省略して、わかってくれているだろうとの勝手な思い込み)が意識化(人間同士はたやすく解り合えないからね)されました。
経営書を読んだ価値ありです。

ありがとうございます。

2014年1月9日木曜日

長期計画の必要性

長期利益計画の必要性について考える。長期利益計画など描いたとおりにならないのだからいらないという論者もいる。果たしてそうだろうか。

・短期利益計画を積み重ねたものが長期利益計画ではない。
・長期利益計画とは、長期と言うと期間的な印象が強いが、むしろその点にとらわれず、今まで漠然と考えていたことを文章にして正確にするということと考えることが重要である。
・経営者には、計画は俺の頭の中にあるからと、紙に書かない。しかし本当は考えていない。考えていないから紙に書けない。
・箇条書きでいいのだ。必ず商売を1日やらないこと。その1日を使って計画書をつくろう。計画書を作らなければ実行できない。

日常の業務に追われているから、5年後を大きく考えることができない。積み上げていっての5年後はなんとつまらないものか。

 
認識を改めよう。
  1. 予測が難しいからこそ、考えなければならない。
  2. 考えない人より考えた人の方が有利だ。
  3. 商売に絶対にいいということはない、よりよいことをやっていくのが得策なのだ。
  4. 無駄をなくことができる。3年後に実らないことを一生懸命やらないために。

 
日常業務に追われ、計画もつくっていない経営者がいる。社員には頑張りが足りないと怒っているが方向も示さないでただ頑張りが足りないと言っている。問題は方向を示さないと社員は育たない。

長期経営計画の要諦は、社員の給料を5年後にいくらにするかを決めること。例えば倍にする。

社員の希望が長期経営計画にリンクしないといけない。そうじゃないと売れ売れと言われても儲かるのは経営者だけじゃないかと見透かされてしまう。経営者は我利我利では会社は大きくならない。運よく儲かれば高級マンションに住み高級外車に乗る。それで10年は持ってもそれ以上は持たない。会社は大きくならない。

社員の給料を5年後に倍にする。そのために今期は幾らの売り上げが必要かが社員みんなの意識の中に入ってくる。1人、1人がよし給料をあげるぞとの意識でやれる。長期計画から逆算して、今期の目標ができる。みんなが実現に向かう。

絵にかいた餅の経営計画に慣れてしまうと社員は適当にやっておけばいいと思う。

計画通りにいかなければだめだというのが、会社を大きくするための考え方の基本である。

計画なんていらないとか言うのは会社が大きくなって、優秀なスタッフがそろってからだ。

  次回につづく

2014年1月6日月曜日

見立ての習慣


アートディレクターの佐藤可士和さんの書いたクリエイティブシンキングに「見立て」のことが書いてあります。

茶の湯の世界であるものを別のものになぞらえて見る、ことをいうそうです。
佐藤さんもアートディレクターとして言葉にしてわかってもらうために、くどくど説明するより「要するに××みたいなものです」というかんじで的確に見立てられるとイメージの共有ができ、考えていることがうまく伝わり、仕事がスムーズに進んだ経験があるとか。

普段からあらゆる事象(ためしに自分の職業でも)について見立てのトレーニングをしていると抽象的に掴みにくい事象をいろんな角度から立体的にとらえられるようになり、表現力が飛躍的に豊かになりますとのこと。

「アートディレクターは、クライアントの課題をカウンセリングを通して見つけ出し、それに対する処方をデザインという手法で行う、いわばコミュニケーションドクターのような仕事です」と記されている。

私たちは経営者の課題を会計数字を把握して、コミュニケーションを図り、まもりの要となりながら、次の打ち手を経営者といっしょになって考える、いわばオリンピック選手に寄り添うコーチのような仕事です」

あまりうまいたとえじゃないですね。しかし、ともにオリンピックを目指す人、やりましょう!

2014年1月2日木曜日

2014年を迎えて

2014年を迎えて年頭所感

2013年12月31日、晴れ渡る空に富士の高嶺を見る。霊山の英気に触れ、自らの視野の狭さを自戒しながら眼下を流れゆく富士川に悠久の時を感じる。人間が所有するというものは、一時の欲望を満たすものであって、真に所有することはない。いずれ死期を迎える。

何が難関なのか、卵が孵って雛になるためには殻を打ち破らなければならない。それも雛が中から打ち破らなければならない、難関はこの孵る雛にとっての殻のようなもの。人にとっては目に見えない殻。いつのまにか自らの心にできてしまった殻をまだ薄いうちに打ち破らねばならない。

ビジネスがうまくいくいかないも、その原因は自己にあり。
「人間社会には、信じるという精神機能の薄弱な者、中途挫折の惰性をもっている者、物事を正面から素直に見られない者、利己中心の発想法から一歩も出られない者、邪推ばかりしたがる者、実に限りない多様性が人間社会にはある。・・・その中で非常に面白い現象は、大発展をとげている会計人は、決まって、格差を作る主人公は俺自身なのだ、と考えており、反対に足踏み転落を続けている会計人は、格差の原因は俺以外の環境条件の中にあるのだと思い込んでいることです。」(「激流に遡る」 飯塚毅著 199頁~200頁)

2014年をこの心境を持って、すでに硬くなってしまった可能性が高い自身の殻を打ち破っていこうと思います。


啐啄同時」(さいたくどうじ)とは、雛が卵の殻を打ち破らんとする時と、親どりが外からつついて殻を破るのを手伝ってくれる、その瞬間がまさに同時に行われなければならないことを意味します。
 
 
 

よき会計人の先輩方、仲間のみなさん、先達の書物をもって、外側から私の殻をつついてもらいながら、私自身も内側からその殻を突き破る1年として2014年を過ごしたいと思います。
 
  
              
                                    
                                    2014年1月1日
                                    公認会計士・税理士 久保田 亮示